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移動平均線について
移動平均線は最もよく使用されているテクニカル分析ツールの内の一つです。
他のテクニカルツールに比べると仕組みは非常に簡単ですが、簡潔がゆえ使用しているトレーダーも多く集団心理で動く相場においては非常に有効なツールだと思います。
移動平均線とは、一定期間に得られるデータを平準化しバラツキを排除することで、相場のトレンドの方向性を見る指標です。
移動平均線の種類
項目 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
単純移動平均線 (MAまたはSMA) | 一定期間を対象にして算術平均で算出する。 過去の価格トレンドを追随する分析法であり、市場の動きに遅れをとるが、大きなトレンドの動きを教えてくれる。 | 複数線での分析は、単純移動平均線が利用されることが多い。 私もこれを使用しています! |
加重移動平均線 (WMA) | 価格の重みを過去に向けて順次小さくするので緩やかに上昇・下降時は威力を発揮する。 乱高下や保ち合い局面では利用価値が劣る。 | |
指数平滑移動平均線 (EMA) | 累積加重平均であり、直近の価格に重みを付ける。 単純移動平均線、加重移動平均線より市場の変化をより早く現すチャートと言われる。 | モメンタムオシレーターの1つであるMACDではEMAを利用している。 |
移動平均線の計算方法
証券各社から用意されているテクニカルチャートやMT4のインジケーターなどを使用すれば計算式は知らなくても簡単に移動平均線を引く事ができるので覚える必要はありませんが参考までに仕組みを理解しておくといいと思います。
例)5日単純移動平均線
直近5日間の終値を合計し、5で除した数値が5日平均となる。
移動平均線(n) = 価格(0) + 価格(1) + ・・・+ 価格(n-1) / n
n : 対象期間
価格(0):直近日の終値
これを連続的に計算してグラフ化すると移動平均線が完成します。

応当日と応当水準
応当水準とは応当日の価格の事で、応当日はn日移動平均線を計算する場合、当日から当日を含めたn日前の日付です。
これは翌日の価格がその応当日の価格(応当水準)より高ければ、n日移動平均線は上向き、逆に翌日の価格がその応当日の価格より安ければ、n日移動平均線は下向きます。
つまり、翌日の価格とその応当日の価格を比べることで移動平均線の方向が予測できるという事です。
もちろん、翌日の価格は分かりませんが、その応当水準は分かっており、急騰、急落でもない限り応当水準との高安関係は変わりにくく、ある程度の予測で価格の方向性の見当がつき易くなります。
移動平均線の採用期間と特徴
採用期間 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
期間が短い(短期移動平均線) | 相場への追随性が良い | ダマシが多い |
期間が長い(長期移動平均線) | ダマシが少なく大きなトレンドを把握できる | 相場に対する遅効性が大きい |
<使用頻度が高い移動平均線の一般的な採用期間>
分類 | 採用期間 |
---|---|
日足 | 5日、25日、75日、200日 |
週足 | 13週、26週、52週 |
月足 | 12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月 |
一般的には上記のように言われているようです。
私の場合はサラリーマンの傍でゆっくりとした時間があまりとれずノートPC主体でトレードしていますのでいくつものチャート画面を同時に開くのは限界があり基本的にどの時間軸でも5SMA、25SMA、75SMA、200SMAを表示しています。
本当は見ている時間軸に応じた移動平均線を表示するのがいいのかもしれませんが、期間に対してはあまり神経質にならなくても経験上あまり問題ないと思っています。
グランビルの8法則
移動平均線による価格の分析は次に示す「グランビルの法則」が有名で一般的です。
<買いシグナル>
- 移動平均線が下落後、横ばいになるか上昇しつつある局面で、価格が移動平均線を上に突き抜ける。
- 移動平均線が依然として上昇しているのに価格が移動平均線を下回る場合。
- 価格が移動平均線の上にあって、価格が移動平均線に向かって下落したものの、交差することなく再び上向きに転じる。
- 移動平均線が下降している場合でも、価格が移動平均線と大きく乖離して下落した場合。
<売りシグナル>
- 移動平均線が上昇後、横ばいになるか下落しつつある時、価格が移動平均線を下に突き抜ける。
- 移動平均線が依然として下降しているのに、価格が移動平均線を上回る場合。
- 価格が下降する移動平均線の下にあって、移動平均線に向かって上昇し、交差しないで再び下向きに転じる。
- 移動平均線が上昇している場合でも、価格が移動平均線とかけ離れて大きく上昇した場合。
この内、注意が必要なポイントとして以下2点あります。
- ②と⑥は価格が再度反転し、元の方向に移動平均線を抜けてきた場合とした方がよりリスクは小さくなります。
- ④のケースは相場の格言で「落ちてくるナイフは素手で掴むな」と言われるように価格が下降トレンドに入ると仮に④のケースで買ったとしても、その後の反発は弱い可能性があり、戻りもほんの短時間となって売り損ねてしまう可能性があります。基本的にはトレンドの方向でトレードする方が安全だと言えます。

複数線分析
複数線分析とは現値線と2つの移動平均線、あるいは3つの移動平均線を使う分析方法です。
- ゴールデンクロス(GC)
200日移動平均線(長期線)が上昇中あるいは横ばいの状態にある時に75日移動平均線が長期線を下から上抜けた場合
- ミニゴールデンクロス(ミニGC)
75日移動平均線(中期線)が横ばいから上昇傾向に転じ、25日移動平均線が中期線を下から上抜けた場合
- ミニミニゴールデンクロス(ミニミニGC)
25日移動平均線(中期線)を6日移動平均線(短期線)が下から上抜けた場合
デッドクロス(DC)の判断は上記GCの正反対となるので省略します。
売買シグナルはグランビル8法則に比べGC及びDCの判断は少し遅れるものの、ダマシは少なくなります。

移動平均線の収束と発散
- 収束
2つの移動平均線の短期線と長期線が互いに接近して収束する場合は価格の煮詰まり感を示唆し、近く保ち合い放れの転機が訪れる前兆と言えます。
- 発散
2つの移動平均線が互いに離れて広がる様子は価格の上昇や下落の勢いが最も強い場面を示唆します。