ドル・ストレートとクロス通貨、値動きの原動力

ドル・ストレートとは

基軸通貨の米国ドル

世界の貿易はドルがなければ成り立ちません。世界中の貿易の決済の際にドルが使われています。その為、ドルは「基軸通貨」と呼ばれる特別な地位にあります。

また、各国政府や中央銀行も、外貨準備としてドルを保有しており、通貨流通量もドルが一番多い通貨です。

為替取引においてもドルの取引を避けることはいくつものチャンスを失うことになりかねません。裏を返せばドルで取引をしていると、世界中の大きな為替変動の波に乗っていることになります。

FXでは基軸通貨である米ドルが含まれる通貨ペアをドル・ストレート」といいます。一方、「円・ストレート」や「ユーロ・ストレート」という言葉はありません。このように用語でもドルが特別な地位であることが伺えます。

ドルと他通貨の力関係

世界経済は事実上米ドルを血液として動いており、FX市場でもドルが動きやすいことになります。円やユーロやポンドが動く要因もありますが、世界経済に大きく影響するのは米国経済であり、米国の金融政策が注目されます。

その為、米国経済指標や金融政策の結果でドル・ストレート全体が動き出し、その流れを受けて他の通貨ペア同士も動きます。FX取引においては、常にドルと他通貨の力関係を意識しておくことで、相場全体の流れを把握しやすくなります。

 

クロス通貨とは

クロス通貨は合成通貨

基軸通貨であるドルが含まれているペアを「ドル・ストレート」といいましたが、ドルが含まれていないペアは全て「クロス通貨」といいます。

ユーロ円は、ユーロから見れば「ユーロクロス」といい、円から見れば「クロス円」といいます。

為替取引では、ドル・ストレートを中心とした取引の為、クロス通貨は2つのドル・ストレートの通貨ペアを組み合わせる合成通貨となります。

例えば、「ユーロ・円」は「ユーロ・ドル」と「ドル・円」を組み合わせた合成通貨です。

クロス通貨は動きが大きい

クロス円やユーロクロスといったクロス通貨は総じてドル・ストレートより大きな動きになりやすい特徴があります。

ポンド円はその代表で、振幅が大きい事で有名で「殺人通貨」と呼ばれたりします。ポンド円を取引する人は痛い目に合った事がある人が多いのではと思います。値動きの方向が合っていれば一瞬で大きな利益を得ることができますが、外れた場合は大きな損失となります。

このポンド円は、ポンドドルとドル円で合成されるので、ドルがあまり動いていなくても、ポンドが買われ、円が売られているとポンド円は大きく上昇します。

逆に、ドルが大きく動いている場合は、クロス通貨は動きにくくなります。

先ほどのポンド円の例で考えると、ドルが買われている場合、ドルの動きに対応してポンドドルは下落し、ドル円は上昇します。結果、ポンド円はポンドドルの下落の動きと、ドル円の上昇の動きで相殺され動きが弱くなってしまいます。

このようにクロス通貨は基軸通貨であるドルが強いか弱いかで、大きく動くか、打ち消し合って動かなくなるかがハッキリしているので、振幅が大きくなりやすい特徴があります。

ドル・ストレートのところでも前述しましたが、基軸通貨であるドルを中心とした通貨の力関係をいつも考えた上で通貨ペアの動きを見ると、どの通貨がトレードに適しているかを判断しやすくなります。

 

参考

通貨の力関係を把握するのにこちらの記事も参考にしてください。

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