通貨の強弱関係を表示するKu-Chartを相対力指数で表示してみようと思います。
なんのこと? と思われるかもしれませんが、EAで使用する為の工夫になります。その前に相対力指数と、Ku-Chartを説明する上で欠かせない対数変化率について説明したいと思います。
INDEX
相対力指数(RSI)とは
概要
相対力指数とは、アメリカのテクニカル・アナリストのJ.W.ワイルダーによって開発されたテクニカル指標であり、オシレーター(振幅を測るもの)分析の一種です。英語表記「Relative Strength Index」の略で「RSI」と呼ばれます。
相場が上昇、下落のどちらの勢いが強いかを計測する指標です。
計算式
一定期間内の上げ幅と下げ幅を合わせた全体の変動幅における上げ幅の割合を示します。期間内の価格がすべて上昇したときは100、すべて下落したときは0になるため、数値は0%~100%の間で推移します。70%以上は買われ過ぎ、30%以下は売られ過ぎの水準とされています。
相対力指数(RSI)=
(n日間のうち上昇した日の上昇幅の合計/n日間の変動幅の合計)× 100(%)

対数変化率とは
概要
対数変化率とは、レートの変化を比率に置き換えた指標の事です。
普通の変化率と違い、上昇と下落を対称に扱う事ができる指数です。この「対称に扱う」というところがポイントです。
計算式
ある価格がXからYに変化した時、以下の計算式で表されます。
対数変化率 = log(Y/X)
対数logの底はe(ネイピア数:2.71828182845904・・・)を用います。
参考までに、自然対数は底がeで、常用対数は底が10となります。
変化率と対数変化率の違い
「普通の」変化率は、ある価格がXからYに変化した時、「増えた量をもともとの値で割った値」となります。
つまり、変化率 =(YーX)/ X で表されます。
具体例で計算すると以下のようになります。
- 100円が150円になった場合の変化率は、(150ー100)/ 100=0.5 となります。
- 同様に150円が100円になった場合の変化率は、(100ー150)/ 150=-0.333⋯となります。
このように変化率 0.50 の逆の変化が変化率 -0.333⋯となり、価格が同じ値幅で上昇と下落をした場合も対称の変化となりません。
そこで、上記の例を対数変化率で計算すると以下のようになります。
- 100円が150円になった場合の対数変化率は、log(150/100)≒ 0.405 となります。
- 150円が100円になった場合の対数変化率は、log(100/150)≒ -0.405 となります。
このように、対数変化率は普通の変化率と異なり、上昇と下落を対称に扱うことができます。
対数変化率から相対力指数(RSI)を計算
前置きが長くなりましたが、ここからが本題となります。
対数変化率を用いると、価格の絶対的な大きさに依存せず、上昇と下落が対称となるので、複数通貨の価格変化を同じ基準で比較する事ができるようになります。
この考え方を用いて通貨の強弱関係を表しているのがKu-Chartです。
ここでは更にそれを相対力指数(RSI)に変化させてみます。
つまり、「対数変化率で計算する事で比較が可能となった複数通貨の価格変化に対し、相対力指数(RSI)をとる事で、上昇、下落の勢いが強い通貨を0%~100%の数値で表す」という事です。
ややこしくてよく分りにくいです。。。が、こちらを見ていただくと一目瞭然です。

表示されているチャートは以下のようになっています。
- 一番上の段が、AUDJPYの15分足(ローソク足)チャート
- 真ん中の段が、Ku-Chart
- 一番下の段が、Ku-Chartに対し相対力指数を計算したもの
それぞれ明らかに形が違っていますね。
黄色の四角枠で縦に囲んだところを見てみると、❶のローソク足ではAUDJPYが急上昇しているのが分ります。
❷のKu-Chartで見てもこの瞬間にJPYが売られ、AUDが買われているのが分ります。
❸だともっとハッキリに見て取れます。AUDが70%(買われすぎ水準)を上回り、JPYが30%(売られすぎ水準)を下回っているのが分ります。
裁量トレードでは人が目で見て判断するので❶〜❸いずれでもこのシグナルを察知できますが、システムトレードの場合は判断をプログラムに委ねる為、何かしら明確な判断基準を定義する事が出来た方がプログラム実装がし易いです。そういう意味で❸は、「複数通貨の強弱関係をRSIと同様に0%〜100%の数値で表す事が出来る」のでシステムトレードに向いています。
実際にこれを用いたEAでのシステムトレードの結果は随時ブログにアップしていますのでご覧ください。
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